脳の左右差と身体の不調:石器時代からの習慣が現代の私たちに与える影響

2020年09月6日

脳の左右差と身体の不調:石器時代からの習慣が現代の私たちに与える影響

私たちの身体は、日々の生活の中で繰り返される動きの習慣によって、左右に微妙な差が生じます。特に利き手による影響は大きく、右利きの方と左利きの方では、身体の使い方が大きく異なります。

時折、その法則に当てはまらない「逆手」の方もいらっしゃいますが、多くの場合、この「左右差の法則」に従っていると言えるでしょう。

なぜ左右差が生じるのか? 古代からのDNAに刻まれた「螺旋の動き」

この身体の左右差、そして動きの習慣が脳の機能にまで影響を及ぼしていると考えると、まるで不思議な話のように聞こえるかもしれません。しかし、私は日々の臨床の中で、この「螺旋状の動き」が細胞レベル、さらには遺伝子レベルで私たちの身体に組み込まれているのではないか、と思いを馳せることがあります。

例えば、人間の身体の構造や、植物のツルが伸びる様子、DNAの二重螺旋構造など、自然界には螺旋状の動きが数多く見られます。

これは偶然ではなく、効率性や安定性、生命活動の維持に不可欠な普遍的なパターンなのかもしれません。私たちのご先祖様たちが長い歴史の中で培ってきた生活の習慣が、この左右差や動きの質のベースとなっていると想像すると、非常に興味深いものです。

 

日常臨床で見られる「左右差」の顕著な現れ

この左右差が特に顕著に現れるのは、神経痛や脳梗塞などで神経が正常に機能していない時です。

  • 三叉神経痛や顔面神経痛でお悩みの方は、痛みや麻痺によって特有の表情を作り出します。顔の片側だけが引きつったり、動きが制限されたりすることで、左右のバランスが大きく崩れて見えることがあります。これは、特定の神経経路が障害されることで、その神経が支配する筋肉の機能が左右で異なってしまうために起こります。
  • **脳血管障害(脳梗塞など)**によって神経機能が低下してしまった方は、また違った形で表情筋の状態を作り出します。顔面麻痺が生じた場合、片側の顔が垂れ下がったり、表情が作りにくくなったりします。これもまた、脳の特定の部位が損傷を受けることで、そこから出る神経伝達が左右でアンバランスになる結果です。

これらの事例は、脳機能の左右差や、それが動きの質に与える影響を考える上で、多くの気づきを与えてくれます。

顎関節症と脳の左右差:なぜクリック音が生じるのか?

顎関節症は、まさにこの身体の左右差が顕著に現れる典型的な状態の一つです。顎を開閉する際に「カクカク」と音がしたり、痛みが生じたり、口が大きく開けられなくなったりする症状は、多くの場合、顎関節の左右のバランスが崩れているために起こります。

なぜこのような左右差が顎関節に生じてしまうのでしょうか? 私たちは、その根本的な原因を探る必要があります。

 

古代の習慣が現代の身体に刻んだ「手の役割分担」

ここからは少し顎から離れてしまいますが、ぜひ想像力を働かせてみてください。

それは、大昔の人類のご先祖様たちが、日々の生活、特に石器作りといった習慣の中で培ってきた「手の役割分担」が、現代の私たちの脳機能や身体の左右差にまで影響を与えているのではないか、という仮説です。

イメージを掴むために、大昔の人類が使ったのと同じような石を集めて石器作りをしてみましょう。石器作りには「削られる石(原石)」と「削る石(ハンマー石)」があります。

通常、右利きの人が石器を作る場合、「削られる石」は左手で持ち、「削る石」は右手で持って、右手の石を振り下ろします。

  1. 右手の役割:繰り返しと再現性 右手の「削る石」は、常に同じような角度とスピードで振り下ろされることが効率的な作業に繋がります。この「同じ動作を繰り返し、安定して作り出す」という動きは、非常に高い再現性と効率性が求められます。つまり、右手は「動きのパターン化と再現性」を得意とするように発達したと考えられます。
  2. 左手の役割:微調整と空間認識 一方、左手の「削られる石」は、振り下ろされてくる石がちょうどよく当たるように、位置や向きを微妙に、かつ正確に調節する必要があります。この「微調整を行う正確さ」こそが、人類の手先の細やかさを培ってきた機能です。そして、この作業の中には、「左手にこそ、最終的に作り出すべき石器の完成形(図形イメージ)」があり、それを実現するために必要な角度や位置を空間的に認識し、微調整する能力が求められたと想像できます。

 

脳の役割分担との共通点

このような古代の石器作りという動作を通して考えると、現代の脳の役割分担との共通点が見えてきます。

  • 左手(右脳)の役割:図形イメージ、空間認識、全体像の把握 左手を使った微調整や完成形のイメージ把握は、右脳が図形イメージや空間認識、全体像の把握をつかさどる現在の役割分担と非常に符合します。右脳は、直感的で創造的な思考、非言語的な情報処理に優れていると言われます。
  • 右手(左脳)の役割:動きの再現性、微調整、論理的思考 右手を使った繰り返し動作やその精度を追求する機能は、左脳が言語、論理、分析、そして動きの再現性や微調整を得意とする現在の役割分担と共通します。左脳は、正確でパターン化された動きや、計画的な思考、細かい作業に優れていると言われます。

もちろん、逆パターンの左利きの方もいらっしゃるので一概には言えませんが、多くの方がこの右利きのパターンに当てはまる中で、このパターン化された動きの習慣から、私たちの身体には少なからず「歪み」が生じていることを、皆さんも薄々感じているのではないでしょうか。

 

現代生活と「歪み」:コロナ禍がもたらした新たな気づき

現代社会においても、私たちは無意識のうちに特定の動作を繰り返しています。例えば、スマートフォンの操作、パソコンのキーボード入力、特定のスポーツ活動など、利き手を偏って使う場面は数多くあります。

特に、近年のコロナ禍で在宅ワークが普及したことにより、多くの方がこれまで以上に長時間同じ姿勢で作業したり、特定の動作を繰り返したりする機会が増えました。これにより、これまで感じなかった身体の不調、例えば肩こりの悪化、腰痛の発生、首の痛み、眼精疲労、そして顎関節の不調などを訴える方が増加しています。

これは、日常生活における「動きのパターン化」が、身体の左右差や歪みを助長し、やがては症状として現れている良い例と言えるでしょう。

 

根本改善への第一歩:生活パターンを見直す機会に

身体の不調や歪みを根本から改善するためには、単に症状が出ている部分を施術するだけでなく、「なぜその歪みが生まれてしまったのか?」という、あなた自身の生活パターンの中に潜む原因を見つけ出すことが非常に大切です。

  • 普段、パソコンのマウスはどちらの手で使っていますか?
  • スマートフォンを持つのはどちらの手が多いですか?
  • 座る時の姿勢に偏りはありませんか?
  • バッグを肩にかけるのはいつも同じ側ですか?

ご自身の日常生活の癖や習慣を客観的に見つめ直すことで、身体の歪みや不調の「根本原因」に気づくことができるかもしれません。

浜田山CAZU整骨院では、単なる施術だけでなく、患者様一人ひとりのライフスタイルや身体の癖を詳しくカウンセリングし、根本的な原因を見つけ出すサポートも行っています。

石器時代からのDNAに刻まれた習慣に思いを馳せつつ、現代の生活パターンから生じる歪みを見つけ出し、健康で快適な毎日を取り戻すための一歩を踏み出してみませんか?