波打つ背中と原始反射|全身の痛みや姿勢不良の根本原因
2025年08月29日
波打つ背中と原始反射──人間の動きの原点に戻る
人は生まれた瞬間から「動きの設計図」を持っています。
それが 原始反射 と呼ばれる、赤ちゃん特有の無意識の運動パターンです。
モロー反射や把握反射といった動きは、成長とともに消えていきますが、これらは決して「不要なもの」ではなく、脳と身体をつなぐ基礎プログラムなのです。
この反射がスムーズに統合されずに残ると、背骨のしなやかな波動=「波打つ背中」が失われ、全身の動きに影響を与えます。
原始反射とは何か?
原始反射とは、赤ちゃんが生まれながらに備えている自動的な反応です。
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モロー反射:驚くと手足を大きく広げ、すぐに抱きつくように戻す動き。
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把握反射:手のひらに触れると強く握りしめる。
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非対称性緊張性頸反射(ATNR):顔を向けた側の手足が伸び、反対側が曲がる。
これらは 脳幹レベルで制御される生き残りのためのプログラムであり、成長の過程で「大脳皮質による随意運動」に統合されていきます。
原始反射と波打つ背中のつながり
赤ちゃんの動きをよく観察すると、背骨がしなやかに波打っているのが分かります。
ハイハイや寝返りはもちろん、泣くときの全身のうねりも、反射と背中の波動が一体化した動きなのです。
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ATNR(非対称性緊張性頸反射)は「右連動・左連動」の背骨の動きに対応。
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モロー反射は「縮む連動・伸びる連動」と重なる動き。
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把握反射は手足と背中の波の協調性を育てる。
つまり原始反射は、背骨の波動とセットで「人間の運動連鎖」を組み立てているのです。
原始反射が残ったままだとどうなる?
本来は成長とともに消える反射が、大人になっても統合されずに残っているケースがあります。
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姿勢が崩れやすい(猫背や反り腰)
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集中力が続かない
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動作がぎこちない
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肩や腰の痛みを繰り返す
これは「波打たない背中」と同じ現象で、体幹の自動運動が封じられ、手足が無理に働かされている状態です。
運動発達と背骨の役割
人間の運動発達を見ていくと、すべてが背骨の波動に導かれているのが分かります。
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胎児期:母体の中で体を丸め、反射的な波動運動を繰り返す。
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新生児期:原始反射に従って手足を動かす。
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乳児期:寝返り・ハイハイ・お座りを通じて、背骨の「縮む・伸びる・左右の波」を体得する。
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幼児期:歩行が確立し、随意運動が反射を統合していく。
この発達過程がスムーズであれば、「背中の波」が自然に育ち、大人になっても滑らかな運動連鎖を維持できます。
大人に残る“原始的な動き”
興味深いのは、私たち大人の歩行やスポーツ動作の中にも「原始反射の名残」が見えることです。
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投球動作ではATNRのパターンが再現される。
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バランスを崩したときにはモロー反射的な両腕の広がりが起こる。
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強い把握は体幹筋群を同時に働かせる。
つまり 原始反射は消えていくのではなく、統合されて“波打つ背中”の中に組み込まれるのです。
まとめ──原点に戻ることの意味
「波打つ背中」は、赤ちゃんの頃に育まれた原始反射と一体化しています。
それがスムーズに統合されなければ、私たちの体は効率的に動けず、痛みや変形を招きます。
だからこそ、大人になってからも原始反射と背骨の波を見直すことが、健康寿命を延ばす鍵になるのです。

